前回、私は「クレーム対応の仕事にちゃんと向き合おう」と決めました。
とはいえ、毎日クレームの嵐。
怒鳴られる。
言ってる意味がわからない。
無茶な要求をされる。
当たり前ですが、ひどく落ち込みます。全く楽しい仕事ではありません(笑)。
そこで私は考えました。
「どうしたら、クレーム対応で落ち込まなくなるんだろう?」
たくさんの時間を費やしましたが、ある考え方にたどり着きました。
それは、
「クレーム対応をすると、人にはできない経験が増える」
ということでした。
・怒りのスイッチが入っている人と話す。
・自分とは価値観が違う人の話を受け止める。
・ビックリするくらい、とんでもないことを言われる。
これって、普通の仕事ではなかなか経験できません。
しかも私は、もともとタレントを目指していた人間です。
「これ、後で人に話せるネタになるやん!」
そう思った瞬間、クレーム対応を見る目が少し変わりました。
もちろん、その場では大変です。
でも、
「今日も一つ、人生のネタが増えた!」
と思えば、ちょっとだけ面白くなってきます。
実際、この時の経験が、今の私の著書や講演の鉄板ネタになっています。
人生、何が役に立つかわかりません(笑)。
そして、クレーム対応と真剣に向き合う中で、私はもう一つ、大きなことに気づきました。
それは、
お客様は「問題を解決してほしい」だけで怒っているわけではない。
ということです。
「私の話を聞いてほしい」
「自分の気持ちをわかってほしい」
「こんなことが起きて不安なんです」
そんな気持ちが、その怒りの奥に隠れていることが多いのです。
そこで以前、社長から言われた言葉が、もう一度、頭に浮かびました。
” 私心なきこと ”
怒られたくない。早く終わらせたい。面倒なことから逃れたい。
これでは、全部「自分のため」です。
そうではなく、
「この人は、今、何を感じているんだろう?」と考える。
相手の話をちゃんと聴く。
相手の気持ちを理解しようとする。
つまり、
「お客様の良き理解者になる」ことを意識するようになりました。
すると、不思議なことが起こりました。
「ちゃんと話を聴いてもらえて、気が楽になりました!」
「谷さん、わかってくれてありがとう!」
「こんなんされたら、ホンマに誰でも笑顔になりますわ!」(大阪のお客さんの言葉)
そんな言葉をいただけるようになったのです。
クレーム対応なのに、お客様と一緒に笑っている。
「教えていただいて、ありがとうございます!」と言って電話を切ることもできるようになる。
そんな瞬間が、少しずつ増えていきました。
そして私は気づきました。
クレーム対応は、嫌な仕事ではない。
”私心なきこと”の精神で人の気持ちに寄り添うことで、
「お客様の怒りを笑顔に変えることができる仕事なんだ」
「お客様相談室はクレーム処理係ではなくて、ファンをつくる部署なんだ」
この発見が、後の私の人生を大きく変えることになります。
そして、もう一つ。
この経験を、同じようにクレームで苦しんでいる人たちに伝えたい。
”怒りを笑顔に変えるクレーム対応法”を日本全国に広めていきたい。
そう思うようになったのです。
