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10年前とクレーム対応は何が変わったのか? ~人に対してまで効率化してはいけない~

一般社団法人日本クレーム対応協会 谷厚志4分で読めます

私の著書『超一流のクレーム対応』を出版したのが2017年。

あれから、もうすぐ10年になります。

この10年間で、私たちの仕事のやり方は大きく変わりました。

オンライン会議、チャット、セルフレジ、モバイルオーダー。

そして今では、生成AIを使えば、メールの返信も文章作成も、驚くほど短い時間でできるようになりました。

便利になりました。

仕事も速くなりました。

私自身もAIを活用しています。

人手不足が深刻になるなか、限られた人数で仕事をするために、業務を効率化することはとても大切だと思っています。

でも、ひとつ気になることがあります。

仕事だけではなく、「人」に対してまで効率化していないでしょうか。

最近は、お客様自身に操作してもらう場面が増えました。

注文はタブレット。
予約や変更はWEBから。
問い合わせはチャット。
会計はセルフレジ。

便利になった反面、

「聞きたいことがあるのに、人につながらない」
「どこに問い合わせればいいのかわからない」
「困っているのに、自分で調べてくださいと言われているような気がする」

そんな不満も生まれています。

さらに、人が対応している場面でも、

「早く終わらせたい」
「次のお客様を対応しなければ」
「決められた時間内に処理しなければ」

という気持ちが強くなれば、お客様との会話まで「さばく」「こなす」仕事になってしまいます。

仕事としては、間違ったことをしているわけではありません。

でも、お客様からすると、

「なんだか、右から左にさばかれたな……」

と感じてしまう。

実は、10年経っても何も変わらないことがあります。

お客様は、

「嫌な気持ちになりたくない」「ガッカリしたくない」
そもそも「クレームなんて言いたくない」のです。

今も昔も、不満があっても必ずしもその場で怒ってくれるとは限りません。

何も言わずに帰る。

次から、その会社やお店を使わなくなる。

そしてSNSや口コミサイトに、「対応が冷たかった」「もう利用しません」と書き込む。

会社側、お店側は、

「今日はクレームもなく、無事に仕事が終わった!」と思っている。

ところが、実際にはお客様を一人失っている。

これが怖いのです。

私は、クレームは「期待を裏切られたとき」に生まれると考えています。

商品やサービスへの期待だけではありません。

「ちゃんと話を聴いてくれると思っていた」
「困っているのだから、少しは親身になってくれると思っていた」
「一人のお客様として、大切に扱ってくれると思っていた」

そんな小さな期待が裏切られたときにも、不満は生まれます。

だから私は、仕事を効率化することには大賛成です。

AIに任せられる仕事は、どんどん任せればいい。

無駄な作業も減らせばいい。

ただし、

仕事は効率化しても、人に対してまで効率化してはいけない。

ここは間違えてはいけないと思っています。

自分の仕事を早く終わらせることばかり考えている。

お客様を「一人の人」ではなく「売上」や「件数」として見ている。

そんな仕事を続けていると、少しずつお客様の不満がたまっていきます。

その結果、クレームが増える。悪い口コミが増える。その対応に現場の時間を取られる。

早く処理しようとした対応が、さらに相手を怒らせ、本来は正当なクレームだったものまで悪質化させてしまう。

現場スタッフが疲弊する。そして、人が辞める。

効率化したつもりが、かえって仕事を増やしてしまうのです。

では、お客様の不満を大きなクレームにしない会社やお店は何が違うのでしょうか。

私は、とてもシンプルだと思っています。

「目の前の人を笑顔にしよう」としている。

相手の話を聴く。困っていることを理解する。

できないことがあれば、できることを探して提案する。

たったそれだけでも、

「ちゃんと自分に向き合ってくれた」と感じてもらうことができます。

AIが進化し、仕事の効率化がさらに進む時代だからこそ、

私はこれから、「人にしかできない仕事」の価値がもっと高くなると思っています。

お客様の感情を理解する。

困っている人に寄り添う。

そして、目の前の人を笑顔にする。

これは、10年前も今も変わりません。

いや、

効率化が進んだ今だからこそ、10年前より大切になったのかもしれません。

この10年間で、仕事のやり方は大きく変わりました。

でも、人と向き合うという仕事の本質は変わっていない。

仕事は効率化する。

でも、人にはしっかり向き合う。

これも、これからの時代に特に必要なことだと、私は考えています。

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